七色セツナ。1
パタンと閉まるドアと同時に、
恵衣がソファに深く身を沈めた。
「フ...おもしれェ奴」
そう呟くと、静かに目を閉じた。
「蒼夜。
あの女、
テツヤと嫁が連れて行った。
お前の、管理不足だぞ。
あの女を
近付けさせんなって言ったよな?」
「テツヤの女のダチだって、油断してた。」
「次は、ねェぞ?」
「はい。」
目を閉じたままでも、
トップの威厳を放つ恵衣。
ーー恵衣は
夜天使の頭を長く務めている。
恵衣ほど、
その座に
ふさわしい者がいないからだ。
学生の時は
それでも良かったが、今は仕事も持っている。
大勢の社員を抱え、
下請けの会社の面倒もみている。
大きな契約の話も出ていて、
新たに提携する会社も探している。
そんな恵衣の仕事を、
少しでも楽にしてやりたいと
俺も出来るだけ手伝っているがー
恵衣の精神面までは、支えてやれないんだ。