七色セツナ。1

借り物競争の仕掛け。




スタートを待っていると、
借り物が書かれた紙が入っている箱が
交換された。


「ん?

あの人、どっかで見たことある気がする。

2年...だったかな?」


バンっという、スタートを促す音がして、
箱に向かって走る。


箱は2つ用意されていて、
やっぱり走らない先輩の分で
2枚入っているはずなのに、1枚しか入っていない。


「隣の箱に入っているのかな?」


不思議に思いつつも、紙を広げる。


「……」


花凛は
さっき、箱を持って来た人物をじっと見る。


すると、視線に気付いたのか、目があった。


その男は顔を赤くした後、
「はっ」と言って顔を逸した。


「・・・理科実験室」


確か、理科実験室で絡んできた2年生ではないか?


花凛は
ふーっと、ため息をつくと
自分のクラスメイト達がいる
エリアに顔を向けた。



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