七色セツナ。1



甘ったるいような、鼻につく声がした。


「チッ」


ん?


会長、舌打ちした?


「会長!

なんで
この子が、ここにいるんですか!?」


芹沢先輩だ。


触らぬ神に...の先輩。


「君、具合が悪かったんじゃないの?」


会長は
芹沢先輩を見ようともせず、
未だ優雅に
お茶を飲みながら答えた。


「もう大丈夫です!

こちらの業務に戻ります。

・・・あんた、どきなさいよ」


会長に向けての甘ったるい声とは真逆に、
鋭さを含んだ声で私を睨む。


席を立とうとした瞬間、会長がこちらを見た。


「ユカ、そのままで。

その席は、ユカのだよ」


「会長!」


芹沢先輩が
甘い声を出すのを忘れ、焦った声を出す。



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