七色セツナ。1
「ユカ、黙って。」
ユカを抱く腕が、更に力を増し、
ギュウギュウと音がしそうな勢いだ。
女子3人は、もうこれは決定的ね。
と、うんうんと頷き合い
「じゃあ、会長お願いします」
と、美雪が言うと
「お昼買ってから行くねー」
と、真季乃が手を振り
「ユカ、おにぎり何個?」
と、花凛が聞くと
「ツナとタラコと昆布と鮭」
と、ユカが真剣に答えた。
「どんだけ食うんだよ……」
という男子たちの声をよそに
もうされるがままのユカを抱えて、
王子スマイルを見せた宏晃が
優雅に去って行った。
1年生のリレーで、午前の部は終了。
お昼は、学食で
おにぎりとサンドイッチが売られている。
普段はメニューも他にあるが、
体育祭ということもあり
ガッツリ食べる人も少なく、
何より学食のオバチャン達が
体育祭を見たいため、今日だけの限定だ。