七色セツナ。1
誰かの脳裏に
「腹話術みたい...」
と浮かんだ直後
もがきは無駄だと悟ったユカは
口での反撃に出た。
「ちょっ、宏晃先輩!
食べにくいんですけど!」
「ああ、右手を怪我したからね。」
「違いますよ!
おにぎりだから、
利き手じゃなくても大丈夫です!
て言うか、
包帯ぐるぐる巻きだから、
かえって右手が使えないんですよ」
「おにぎりの具は何?」
宏晃が、食べかけの
おにぎりに目を向ける。
「タラコです」
「うん。
ユカは、タラコって感じがするね」
王子様スマイルで、何言ってんだ?
3人は、揃って怪訝な顔をする。
「今度、タラコを北海道から取り寄せよう。
ウチのレストランで
取引している所があるんだ」
「・・・それに関しては、
なんの文句もありません」
ユカのその言葉に、
王子様スマイルが、更に輝きを増した。