七色セツナ。1
「まぶしっ」
花凛のツッコミも、
王子様は聞こえていないようで、
残りの
おにぎりを頬張るユカを
愛おしそうに、頭を撫でながら見つめている。
なんかもう、こっちが恥ずかしいんだけど……
3人は、ため息をついた。
「ユカ。
もう一度聞くよ?
病院には行かないの?」
自分の腕の中で
ギュウギュウに閉じ込めた
ユカの顔を覗き込む宏晃。
「ただの擦り傷ですから!
外科とかやめてください!」
「ユカ。
もし、痕が残ったらどうするの?
この身体はね、
君だけの物じゃないんだよ?」
「宏晃先輩、セクハラです!」
その時、
午後からの部の開始を告げる放送が流れた。
「さて……
戻ろうか、ユカ」
そう言って再びユカを
お姫様抱っこする。
3人はもう、何も言わない。
ユカも
この体制は逃げられないと
分かったからか、大人しくしている。