Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
礼儀作法に加えて、宮廷でのマナー。
刺繍などの簡単な裁縫に、ダンス、楽器の演奏、そしてターラントに加えて
アルメリオンの歴史や言葉。
( 二国間の言葉にはそんなに違いはないが、言い回しやアクセントは
少しの違いがある)
教養としての古典に、様々な分野の知識の勉強。
不得意というわけでなないけれど、乗馬や狩りや軽いスポーツなどを
優先して、二の次にしてきたことに、ミュアは真剣に取り組むようになった。
そして、気品ある立ち振る舞いを心がけ、いつも微笑みを絶やさないーー。
ミュアの変化に泣いて喜んだのは、チェイコックだ。
「人形のように美しいが、男の子のように活発で残念な姫君、
と言われていたミュアリス様が……」
何も泣くことないじゃないと、ミュアは内心、むっとしたが、ゆったりと
微笑んでチェイコックに言った。
「今まで、本当に心配をかけてしまっていたのね」
それは本心というよりは、レディらしい言動を意識したための言葉
だったが、チェイコックは感激し、それから三十分間、ミュアの手を
握りしめて、オイオイと泣いた。
ウォーレス様のためと思えば、様々なレッスンの大変さなど、
なんてことはなかった。
でも、そんなことが四ヶ月、五ヶ月と続くうち、ミュアは元気を
なくしていった。
周りのものが心配しても、ミュアは微笑んで、
「だいじょうぶです」
と言うだけだ。
実際、ミュアは自分がレディらしくなっていっていることに満足していたし
望んでしていることだから、なぜ、元気が出ないのか、
自分でもよくわからなかったのだ。