Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
(8) 想いはゆれる
長く留守にしていた王城へ入ったとき、ミュアは緊張した。
でも、すぐにクロエがとびついてきて、
” よかった 、よかった “ と言いながら、ぽろぽろ
涙を流すものだから、ためらいも緊張もクロエの涙とともに
流れていってしまった。
クロエが泣くのを見るのは初めてだ。
ずいぶん心配をかけてしまった、
ヴェイニーやシルヴィ、オニクスと別れるのは寂しかったが、
帰ってきて正しかったとミュアは思った。
ヴェイニーの館にはまた訪ねていける。
もう王妃としての自分に戻らなければ。
ミュアをでむかえた人たちは皆、様子を伺うような
とってつけたような作り笑いだったが、
デリアだけがいく前と少しも変わらず、ミュアがちょと中庭にいって
戻ってきたというほどの態度で、すべてがすぐに
もとの日常に戻っていった。