Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 グレイの目が陰る。
 眉間にしわを寄せ、苦しげな表情になる。

 言葉を続ければ、グレイは苦しむ?……でも……。
   どうしてなにも言ってくれないの? どうしてなにも
   言わせてくれないの?
   言いたい、聞きたい……心の中の思いをぶちまけてしまいたい、
 だけど……。


   
    「わかりました、ではせめて今晩はベッドでお休みください。
     明日は早くに城を発たれるのですから」
    「わかった、そうしよう」



 以外にもグレイは承諾し、ベッドに横になり、ミュアは長椅子で寝ようと
 踵をかえしかけた、そのとき、ベッドからのびてきた腕が
 ミュアの手首をつかんだ。


   
    「一緒に寝よう」



 優しく、でも強引に手を引かれ、ミュアもグレイの隣に身をよこたえる。

 すぐに長い腕がうしろからミュアを包みこみ、身体がぴったりと寄り添う。


 
 グレイの指が顔の横のラインをなぞるように動き、再びあがった指が、
 ミュアの顔の形を確かめながら、額から鼻、唇へとおりてくる。

 身じろぎしたミュアがグレイのほうを向こうとすると、グレイは耳許に口をよせた。


   
    「こっちをむくな」
    「どうして?」
    「質問はなし」
    「だから、どうして?どうして質問もダメなの?」
    「問うことをやめないなら、俺は長椅子へもどるけど」
    「いやよ」


 
 ミュアは急いで、力をこめていった。


   
    「それは、いや」



 うしろでグレイが苦笑いをしたのがわかった。



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