Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
(9) 何が嘘で 何が真実か
山に至る道のところどころには、まだ汚れた雪が
とけ残っていた。
王都では穏やかに晴れる日が続いていたのに、
ここでは晴れていたかと思うと急に雲が広がりはじめ、
短い雨が降り、一日のうちに何度も天気が変わる。
山の麓には鉱山や山の仕事で生計をたてている人たちの村が
三つあり、ボドナに着いたその日は真ん中の村で
泊まることになった。
今晩はここで泊まり、明日、この村から次の村へ行く途中で
襲われ、行方がわからなくなったグレイの跡を
オニクスやシルヴィと歩きながら探す、ということになる。
春とは名ばかりで、夜になれば暖炉に火をいれねばならぬほどで、
火を落としベッドにもぐりこんでも、まだ暖炉の熾火(おきび)が
薄赤くまわりを照らしていた。