Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜

 
 ごくっと唾を飲みこみ、トラビスは考える。

  ここは、踏みこむべきか……
  踏みこまざるべきか……。



 そのとき、ふっと目線をあげた彼は、扉にうつる影に、
 自分の後ろに誰かが立っていることに気づいた。
 
 くっ、敵に見つかったか!

 背中をかけあがる身震いを感じながら、トラビスは振り向きざまに
 拳銃をかまえる。


 だが、必死で向けた銃口の先には、すっごく冷ややかな表情の
 クロエがいて、その数歩うしろには、シルヴィとオニクスをつれた
 ミュアが不安そうな顔でたっていた。


   
    「踏みこむべきだと思いますわ」
    「は?」

 

 トラビスを見下ろし、すべてのものを凍りつかせるような声で、
 クノエが言う。
   


    「今すぐ踏みこんで、グレイ陛下がいったい何を
     なさっているのか 確認するべきですわ」
    「……」



  ー ー 会話を聞かれた……か。

  ーー 許せ、グレイ!!




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