Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
バン!と思い切り足で扉を蹴り、室内にとびこんで拳銃をかまえ、
トラビスは声をかぎりに叫ぶ。
「グレイ! 今すぐ隠れろ!!!」
小屋の中には、椅子に座る上半身裸のグレイがいた。
そのうしろには村娘が、おびえた顔で包帯をにぎりしめて立っていて、
グレイはひどく驚いた顔で、トラビスをみている。
グレイの身体に半分だけ巻かた包帯と、うすっらと血がにじむ
肩のガーゼに、なにがが行われていたか理解したトラビスは、
がくんと両膝を床につき、空気がぬけるような笑い声をもらした。
「は、は、は、はは……、よかった」
そんなトラビスの様子にグレイはきゅっと眉根をよせ、首をかしげる。
無事な自分の姿をみて、安心してくれたのか……、それは嬉しいが、
さっきの ” 今すぐ、隠れろ!” はなんだろう?
立ちあがり、トラビスにむかって歩きだしかけたグレイは、だが、
戸口に立った人影に、目を奪われ、立ち止まった。