Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 プラチナブロンドの髪をグリーンのリボンで一つに結び、
 乗馬服姿も凛々しいミュアがいて、みるみるうちにその瞳に
 涙が盛りあがっていく。


   
    「ミュ、……ア」
    「……陛下」



 迷子になった幼子が、母の姿をみつけて駆けよってくるように、
 泣きそうな顔のミュアが、両手をひろげてかけよってきて、
 グレイにとびつく。


   
    「陛下!」


 
 まだ驚きからさめないままグレイはその身体を抱きとめたが、
 ミュアの身体の温かさとその身体からたちのぼる愛しい香りに、
 怪我のことも忘れ夢中でミュアを抱きしめた。

 胸の中に熱い思いがたぎり、どれだけ力をこめても
 抱きたりない気がする。

 指先がふるえ、それを隠すようにさらに力をこめたとき、するりと何かが
 膝のあたりにふれてグレイは閉じていた目を開いた。


   
    「オニクス」



 黄金の瞳がグレイを見上げ、彼は甘えるようにグレイの身体に
 何度も身をすりつける。


   
    「オニクスが、ここを見つけてくれたの」



 身体をはなしたミュアが優しい声でそう言い、いつの間にか近くに
 来ていたシルヴィもそっとグレイの指先を舐めている。

 目線をあげれば、トラビスとクノエが並らび、晴れやかな笑顔で
 グレイとミュアとオニクスとシルヴィを見ていて、トラビスがクノエの肩に
 手をまわすと、クノエはそっとトラビスの肩に頭をあずけた。




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