Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 そのとき慌ただしく乱れた足音が小屋の外でして、突然、
 勢いよく、小屋の扉があいた。

 荒々しい足音とともに、抜き身の剣をもった男達が小屋の中に
 入ってきて、最後の男が


    「いました!」


 と、外にむかって声をあげる。

 はっとミュアから身体を離したグレイが、背後にミュア庇いながら
 立ちあがった。


   
    「こんなところに、しかも王妃とともにいるとはね」



 こつっと足音がし、呆れたような、うんざりしたような声が
 戸口から聞こえ、あらわれたのはジョルジュだった。

 彼は荒くれた男たちの後ろに立つと、ふうと大きなため息をつく。


   
    「家族にも婚約者にも甘やかされ、夢をみているだけの
     お姫様だと思っていたけど、どうやら違ったようだね。
     
     国王をさがしに、こんなところまでやってくるとは。
     ふうん、なるほど……そんなに、グレイがいい?。 
     あんなに熱烈なラブレターを、兄に送っていた
     あなただったのに?」



 しんそこわからないから聞いているという声でそういい、
 悪さをした子供をながめる目で、グレイとミュアを見たジョルジュは、
 さも憎々しげに顔をゆがめた。


   
    「たいしたもんだな、グレイ。王族をたらしこむのが
     上手いのはやっぱり血のせいか」



 ぐっとグレイの肩がこわばる。


 グレイの様子に、一転して冷ややかな視線を送り、ジョルジュの口調が
 いつもの嫌みたらしいものにもどり、


   
    「余計な段取りがふえたが、王城でおとなしくしていない、
     あなたたちが悪いのですよ」



 と、彼が合図すると、男たちが一斉に、グレイとミュアに剣をむけた。




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