Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 なんと答えればいいのか、ミュアにはわからなかった。

 亡くなったと思っていたウォーレスが、生きて目の前にいる。


 戸惑った表情で言葉をなくしているミュアに、ウォーレスは
 ふっと優しい表情になると、もう一度グレイの方をむいた。


   
    「外にいる兵士のだれかに傷の手当をしてもらい、
     城へ帰れ。
     ミュアリス姫は、私がつれて帰る」
    「わかりました」

    「ま、待って」



 おもわずミュアは、呼びとめていた。


 グレイがひどく遠いところに、独りで行こうとしているように感じて、
 ひきとめたいのに、なぜかグレイに近づけない。


 だから、ミュアは必死に心の中で願った。
  
   お願い、グレイ、私を見て……。


  
    「グレイ……いえ、陛下、どうぞお待ちください」



 やっと絞り出すような声でミュアがそう言ったのに、
 その言葉は素通りし、グレイはミュアに背中をむけたまま、
 一度をふりかえらず、小屋から姿を消した。




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