Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
「全てはジョルジュの企みを暴くため」
そう言い、ウォーレスは真相を語りはじめた。
ー ー ー
はじまりは、アルメリオン側のボドナ鉱山で
重燧石(じゅうすいせき)という特別な燧石(すいせき)が
大量に見つかったことだった。
燧石は粉末が酸素と反応し火花をもつため、
火薬を爆発させるために使われる。
さらにその反応がつよく、大きいものを重燧石というが、
力が強すぎるため、それに見合った火薬が必要なことと、
採掘量が少なすぎて実用されることはなかった。
だが、その重燧石がボドナに大量にあるとわかり、また同じ時期、
東の大陸でより精度のよい火薬がつくりだされたという話が
アルメリアに伝わる。
とうぜん、重燧石と新しい火薬でより威力のある大砲を
作ってはどうか、という声があがり、まだ存命だった父王は
この計画を進めた。
だが、途中で考えを変え、父王はこの計画を取りやめた。
「確かに強力な大砲がつくられるだろう、それにより
国力は今の数倍も強くなる。
だが、一度それを使えば、相手のこうむる被害は大きく、
深刻なものになりひとつの国を無くしてしまいかねない
争いを生む、と父は考えたんだ。
だからこれを封印し、父亡きあと、私もそれに従った。
だが……ジョルジュは違った」