Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜

 二年の月日があっという間に流れ、背が伸びたミュアはもうクロエ
 より大きい。
 すらりと背は高いが、胸や腰は女らしい曲線を申し分なく描いていて、
 出会うものは皆、その美しさにため息をもらす。

 礼儀作法も完璧で教養もあり、誰もが、立派な王女だとミュアを誉めた。


 結婚は目の前だった。
 ” 二年たったら式を挙げよう ” そうウォーリスが言った約束の時が、
 やってくるはずだった。


 だが、ウォーリスの父、アルメリオン国王が、突然の病で亡くなる。


   
    「急な崩御で、今は私が国王となり、国政を引き継ぐことが
     最優先なんだ」



 葬儀のあと、ウォーレスは苦しげに、ミュアにそう言った。


   
    「君との結婚をどんなに心待ちにしていたか、それが
     こんな事になって」


 
 俯くウォーリスの手に、ミュアはそっと手をかさねる。


   
    「ミュアリス姫、待っていてくれと言っていいだろうか」



 黒いウォーリスの瞳が、真っ直ぐにミュアを見つめていて、ミュアは
 胸がドキドキした。
  本当は、待ちたくない ー ー
  今すぐ、ウォーリスと結婚したい ー ー
  こんなのって、ない!!!
 だが、ミュアは本心を隠して、ふんわりと微笑んだ。


   
    「もちろんですわ、いつまでもお待ちします」
    「ああ、ありがとう、私の snow-rose-」



 ウォーレスがそう囁いて、両手でミュアの頬をつつむ。
 ウォーレスの顔が近づき、優しいキスをミュアは額にうけた。




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