Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
「君は、王妃になる人だから。そのために
生きてきたんだろう?」
ウォーレスと結婚し、王妃となることを望む口調。
でも……、
ミュアは唇をひきむすぶと、グレイを強くみつめて、
きっぱりとした声で告げた。
「私、お腹にあなたの子がいるって、ウォーレスに
言ったわ」
「は?」
グレイがこれ以上はないほど目を見開き、唖然とした顔を
するのを見ながら、ミュアはさらに挑むようにグレイを見つめる。
「なんで、そんな嘘を」
「ウォーレスじゃないからよ! 私が望むのは。
あなた!なの」
言ったとたん涙があふれた。
どれほど待っただろう、どれほど焦がれただろう。
グレイと本当に結ばれる日を。
「お願い、グレイ……私を抱いて」
こんなことを言うなんて、はしたないって、わかってる。
淑女(レディ)失格だってわかってる。
でも、言わずにはいられない。
ミュアの言葉に、耐えきれない呻き声をあげ、
グレイはこぶしを握った。
「どれほどの我慢が必要だったか……今、だって
どれほど我慢しているか……」
「わかってる」
ミュアはグレイの手をとり、自分の頬にあて、そっと
やさしく手のひらでつつんだ。
「だって、私の頬にふれたあなたの指、震えていた。
ウォーレスの王妃になれなんて、嘘、でしょう?」