Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
(11) 嘘の行くえ
ザザザッ、ザザザッ ……
甲板の端に立ち、船横をたたく荒い波の音をききながら、
帆の点検をしている水夫に
「今日の波はたかいな」
と声をかければ
「昨日の昼まで、時化(しけ)てましたからさぁ
んども、強い風のおかげぇであと二っ半もすれば、
アルメリオンの港につくだぁねぇ」
日焼けした顔をくしゃくしゃにして、年老いた水夫が笑う。
「そうだな」
と頷き、かすかに見えてきた陸影に、グレイは目を細めた。