Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 帽子を追いかけ、同時に追いつき、そしてはっと、
 ふたりはお互いに顔をみあわせた。


 鮮やかな紅い髪、光をあつめて輝くゴールド・アンバーの瞳。


 ぽかんと口をあけて、グレイをまじまじと見た少年は、
 突然大声で叫んだ。


   
    「おじさん! どうしてそんな髪の色なの?」



 グレイは、呆れた。

 おいおい、そういうお前だって、同じ色だろ ー ー。
   


    「僕と同じ髪の色の人をはじめて見たよ。
     おじさん、アルメリオンの人ですよ、ね?」



 とっさには言葉がでなかった。

 違うと答えればいいはずだ。
 アルメリオンは、とうの昔にすてた故郷なのだから。


 でも、何かがグレイを躊躇わせる。


   
    「この色はめずらしいんだって、母上は言うの。
     でも、それは僕が特別な男の子だからなんだって」
    「両親のどちらかが、紅い髪なのか?」
    「母上は、きれいなうすい金髪だよ。父上はいないから、
     わかりません」



 どくんとグレイの胸がひとうちした。


   
    「母親の名前は?」



 そうグレイが問うたとき、


   
    「ジェイミー!」



 と名を呼ぶ声がし、少年があっといいながら声をあげた。





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