Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
「ちょ、ちょっと、待ってください」
ミュアの制止に、祭司はまた慌てて目をしばたかせると、ぎゅっと
口をつぐみ、グレイがむっとした顔で、ミュアを見た。
「どうしてやめさせる?」
「どうしてって、返事もなにもしてないのに、いきなり婚姻式なんて
おかしいでしょう!?」
「ことわるのか」
「えっ?」
「俺のプロポーズを、ことわるのか?」
グレイがぐっとミュアにつめよる。
ミュアの胸がとくんと跳ねた。
そんなオーガみたいな瞳で射すくめて、問い詰められても……
花嫁の感じるどきどきとは少し違うかもしれないが、それでも
甘やかさを含む胸の高鳴りを感じながら、でも、ミュアは冷静になろうと、
深く息をすった。
「一緒になれなかったのではなくて?」
ミュアがそう言うと、グレイはぎゅっと口をひきむすんだ。
「……」
「あなたはアルメリオンには戻れないし、私は……」
「もちろん、アルメリオンに戻るつもりはない」
「だったらなぜ?」
「一緒に暮らすためだ、君を妻にし、島につれていく」
「それは無理なんでしょう」
「許可は取りつけた。今の私には、島の王族も融通をきかす。
過去を暴露するとウォーレスを脅して、アルメリオンから出る
法的な書類もととのえた。」
「……」