Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
あたたかな身体がするりとベッドを抜けだしていったことに気づいて、
ミュアは目をさました。
朝とはいえ強い太陽のひかりが、ベッドをかこむ薄い紗をとおして
さしこんでいる。
ミュアは腕を伸ばし、かるく伸びをすると呟いた。
「起きなきゃ」
するとその声が聞こえたように紗がゆれて、誰かがベッドの上に
あがってきて、ゆっくりとミュアに近づき、ミュアの首筋に顔をうめる。
「おはよう、ミュア」
南の島のグレイの屋敷。
南国の気候にあわせ窓がひろくとられたこの夫婦の寝室には、
眼下に見えるエメラルドグリーンの海から、ささやくような波の音が届く。
「お、おはよう、グレイ、あ……」
「なに?」
「起きるんでしょう?」
「うん、そうだけど……」
いったんは起きてベッドからでていったのに、戻ってきたグレイは、
ミュアの上に覆いかぶさって、ちっとも身をおこそうとしない。
その上、軽いキスをしながら喋るから、くすぐったくてミュアは首を縮めた。
「まだ、起きるのはいいんじゃないかなぁ」
顔をおこしたグレイが、ミュアの顔をのぞきこむ。
「欲しいな」
「えっ……」