Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
印象的な目の奥でかすかな炎がゆらめき始める。
ミュアはふいと目をそらした。
一瞬ですべてが奪って(もって)いかれそうになるこの瞳で見つめられると、
自分が捕食された小動物に思えてくる。
「いいだろ」
「だめよ」
口ではそう言うのに、ミュアは自分の身体がグレイ欲しがっている
のを感じた。
肌が、唇が、 “ 欲しい “ と言っている……。
近づくグレイの気配に観念して目をつぶったとき、きしり、と何かが
ベッドの上にのった気がした。
続いてすぐに、ぺろりと、裸足の足指を舐められてミュアは
「ひゃっ」
と声をあげた。
「ムタフ」
低めたグレイの声が侵入者の名を呼ぶ。