Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜

 顎を掴まれ、ふってきたのは、乱暴なキスだった。

 まるで咬みつくように、熱い熱を押しつけられ、嬲られる。

 最初はなにがおこったのかわからなかったミュアも、まるで襲うように
 キスされているのだとわかり慌てた。
 
  こ、こ、こんなにたくさんの、人の、前で!!!
 
 頬が、かっと熱くなる。
 なんとか身体を離そうとしても、グレイの腕はミュアをしっかりと抱え
 こんで離さない。
 息があがり、頭がくらくらし、なにも考えられなくなってしまいそう。


 でも、あたえられる熱に、羞恥とは違うべつの熱い何かが身体の奥から
 湧きあがりそうになってミュアは夢中で、腕をふりあげた。
 
 
 ……パン !
 乾いた音とともに、確かな手応えがあって、はっと顔をあげると、
 頬に手をあてしかめっ面をしたグレイが目の前にいた。

 どうやら夢中でふるった手が、グレイの頬にあたったらしい。
 
 生まれて初めて、ミュアは、頭の血がさーっと下がっていく音を聞いた。
 
 
 どうして?  
 どうして、こうなっちゃうの ー ー !


 この心の叫びがもし声にでていたら、大聖堂を揺るがすほどの
 大声になっていたことは、

 まちがいない……。

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