Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜

楕円形のテーブルを囲むように、並べられた二列の椅子。

 一列目には、アルメリオンの中心をになう貴族たちが座り、
 二列目には、地方の代表や今回の議事に関係する者たちが座る。


 国王の席は、議長席のうしろの全体をながめわたせる
 一段高いところにあるが、だれもこちらは見ようとしない。


 この席に座る人間が違えば、議場の雰囲気もかわるだろうかと考え、
 グレイの口端に苦笑がうかび、それを見て、
 となりに立つトラビス=リードが冷めた視線をよこしたが、
 無視して、グレイは頬杖をついていた手をいれかえると、もう一度、
 一列目に座る面々をながめわたした。


 アルメリオンの由緒正しい名家の者たち。

 上質なサーコートに上品なタイを結び、すました顔をしているが、
 頭の固い、食えない性格の奴ばかり ー ー。

 よくもまぁ、あの面々にいうことを聞かせ、国を動かしていたものだと、
 長兄に今更ながらに尊敬と呆れを感じ、もう一度苦笑いが
 浮かびそうになったとき、突然、議場の扉があいた。


 弱りきった顔の議会担当の官吏のうしろに、言語学のグスマン教授と
 王妃が立っている。

 なにごとかと訝しげな人たちの中で、すぐにトラビスが動き、
 官吏と小声で何事かやりとりをすると、グレイのところに戻ってきた。


   
    「教授が、授業の一環として王妃様と議会の様子を
     見学したいそうです」




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