Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
ガタン!
突然、国王の席で大きな音がした。
音のした方に皆の目が向く。
椅子がななめになり、そこに座っていたグレイが段をおり、
カツカツと靴音を響かせてミュアの方へと歩いてくる。
ミュアに近づきながら、彼は、にやりと頬をゆがめた。
「アルメリオン語の勉学のため、なんていうのは口実だろう」
「えっ」
グレイの言葉にミュアの心臓が早鐘のように打ちはじめた。
確かにそうだが、今ここで国王みずからが王妃の嘘を暴くのだろうか。
ゆがめた笑いをそのままにグレイはさらに近づくと、
ミュアに身体に腕をまわし、ぐいっと腰を引きよせる。
「本当は私に放って置かれたことが気にいらなくて、
ここに来たのだろう?」
「え……?」
とっさには、なにを言われているのかわからなかった。
戸惑うミュアの頬にグレイの指がふれる。
「夜まで待てなかったのか」
やっと言われている意味を理解して、ミュアは真っ赤になった。
「ち、違います、私はボドナ鉱……」
必死な言葉は、途中まで。
グレイが、ミュアの口を唇で塞いだからだ。