自由な私、不自由な私
day1
Day1
「あんた、貧乏だったんだってねぇ?男子にお金巻き上げられて、どこからお金持ってきてるのかしらぁ?」
「・・・」
「はぁ?しゃべれないわけ?クソじゃん」
「・・・」
「いい加減喋れよ!クズが!」
パシッという乾いた音に続いて顔を殴る鈍い音が体育館裏に響きわたった。
「イッタい・・・」
「喋ったよこいつ!声気持ちわるっ!」
なんだ、喋っても喋らなくてもどっちにせよ、いじめられるじゃん。本当私って何で弱いんだろう・・・
「ホラ、助けを請いなさいよ。『許してください、ご主人様』ってね、アハハハハ」
こんなことなんで言わなくちゃいけないの?私は本当にいやだ。イヤだイヤだイヤだ。
「さっさと言えよ!カス!」
「許してください・・・ご主人様」
「じゃぁ、あんたは一生私たちの奴隷として暮らしな!アハハハ」
そしてその後授業を受け、帰りの挨拶が終わるや否や、すぐに教室を飛び出した
すると男子が路地裏に私をいざなった。
「なぁお金貸してくんない?頼むよマジでwwww」
「本当にお金持ってないんです・・・やめてください・・・」
「うーん。やだ。だったら体で払ってもらうかな」
え?イヤだよ。そんなの、好きでもない人とするなんて、そんなの・・・
助けてよ、見てるんだったら助けてよ、ねぇ!
「い、いやーーーーーーーーーーー!」
「こいつ?!黙れ雌ブタが!」
また顔を殴る鈍い音が響いた。本当に私はこんなことをされるために生まれてきたのかな?
そんなことを考えてる間も無く、すぐに制服を脱がされかけた。すると
「なにをしているんだい?君たち?」
「ゲッ!大人だ!逃げるぞ!」
大人の人が一人助けてくれた。
ただこの人どこかで見た気があるんだけど、どこだったっけ?
「あれっ?君って確か・・・雪乃宮高校の生徒さん?」
「そういうあなたは片端先生?!」
「さっきのって・・・」
「き、気にしないでください!」
女子に人気の片端先生と一緒に居たら、ますますいじめが酷くなっちゃう!それだけは・・・
なんとしもさけないと・・・
「君、名前は?クラスと出席番号は?」
「遄水香澄。雪乃宮高校二年四組三十六番です・・・」
「香澄さんですね。学校でもあんな感じなんですか?」
「そう・・・ですね。・・・でも!学校にも、私の担任にも言わないでください!御願いします!」
このとき、片端先生は香澄の悲痛の願いを受け入れ、担任や学校側には一切知らせなかったのだが、それは先のお話。
「じゃぁ、私個人が聞く分には、問題ないんですね?なら、聞かせてくれませんか?一体なにがったのかを」
私は答えを渋った。ここで、本当のことを言ってしまえば、確かに楽になる。だけどそれと同時に先生が言いたくても言えないつらい立場になってしまうんじゃないかと思うと、胸が苦しくなる。先生の問いに答えるべきなのに、声が出ない。私はそのまま、気を失った。
次、目が冷めたときには家にいた。
「あ、気が付いたのね!よかったわ!」
「・・・ここは・・・家?」
「片端先生が運んできてくれたのよ?!どれだけ心配したと思ってるのよ・・・」
「ごめんね。お母さん。もう心配しないでいいよ」
私は嘘をついてるのに、言い出せなくて・・・ごめんね・・・
「明日の学校は休みなさい。お母さんが学校に電話しておくから」
「うん、そうする」
私は内心嬉かった。だって、いつもいじめられてる学校になんて行きたくも無かったからだけど、片端先生にお礼を言いたかったのも事実だし、そこらへんの葛藤はあったけど、それでも、少しうれしかった。だけど、少し嘘をまたついた
「あぁあ、勉強少し遅れちゃうなぁ」
「香澄だったら、少しくらい遅れても、すぐ追いつけるでしょ。今日は休みなさい」
「はぁい」
すると、私のスマホに、一通のメールが届いていた。メールの送信者は、片端先生だった。
私は片端先生の名前を見るだけで、胸が鳴った。・・・
「はじめて、私の傷ついた心に気づいてくれた人・・・」
私の心はもう誰にも気づいてもらえず、このまま心も壊れ、死ぬのかと思ってた。だけど片端先生は気づいてくれた。気づいてくれたことはうれしかったけど、言うことのできない悲しさもあった。再び、私はスマホの画面に目を落とす
【遄水香澄さんへ
家にたどり着きましたか?とは言っても、お母様が、私が送ったことをすでに話しているのでしょう。体のほうは大丈夫ですか?お母様と少しお話しましたが、今日あったことや、今日聞いたことは一切話していませんから安心してください。それと、今度個人的に相談に乗ってあげますから、どこか、予定あけておいてください。日にちはそちらで決めておいてください。おねがいします。 片端康孝より】
メールの内容に私はどう反応すればいいのか分からなくなった。ただし、相談に乗ってくれるというのは、うれしかったりする。相談に乗ってくれるなら、私は、うれしい。こんな重荷をいつまでも背負っていく自信なんて最初から無かった。むしろ、途中で投げ出そうかと思った。投げ出して、自由になろうとした。私は一つ疑問を持った
「自由ってなんだろう・・・」
自由。それは何事にも縛られない。制限が無い。そうとも取れる。しかし、自由には大きな責任がともなう。学校の先生が言っていた。先生に聞いてみようと思い、日にちを伝えるついでに、聞いてみた
【片端康孝さんへ
私は無事に家で寝ていますよ。康孝先生。送っていただいて、ありがとうございます。日時も伝えておきます。6月17日の放課後、駅前の喫茶店で会いませんか?待っています。それと一つ、質問なんですけど、自由って何だと思いますか?教えてください
遄水香澄より】
短い文だけど、それなりに気持ちがこめられている。自由とは何か・・・そんなこと分かったら苦労はしないと思う。メールを送信してから10分くらいたった。メールの返信が来た
【遄水香澄さんへ
日にち、場所、了解しました
自由ですか・・・考えたことも無かったですね。ローレンスの言葉の中に『自由を探しているときが一番自由だ』とありますが、私は自由なんて無いんだと思いますよ。自由は私たちが作り出したもので、その作り出した虚像を追っているのかもしれません。夢物語も貫き通せば現実です。あなただけの自由、見つけてみてください
片端康孝より】
「自由なんて無い。だからこそ自分だけの自由を作り出すことができる・・・」
私はその言葉を噛み締めた。そして心に刻んだ。私は今日から一生懸命、自由を求めて生きていく。その先には、きっと何かがあるはずだと、今日、確信したから。
「自由とは何かっていきなり聞かれたから、つい答えてしまったが。あれでよかったのか・・・香澄さん・・・」
俺は、自由とは何かなんてメールで送ったとおり、まったくわからなかった。ただ、ローレンスの言葉だけは知ってた『自由を探しているときが一番自由だ』俺はいつも、この言葉を胸に生きていた。ただし、余計なことには一切かかわろうとはしなかった。かつ上げ、いじめも例外ではない。ただ、女の子を襲う男子集団は許せなかったが、それだけでは助けようとは思わなかった。彼女の心が垣間見えた。あんな傷ついた心を放ってはおけなかった。だからなのか、ついつい助けてしまったのだ。そして、今では相談にまで乗ろうとしている。自由を探すのには、邪魔なのかもしれないが、人間としてなのだろうか何なのだろうか分からないが、ついつい助けたくなってしまったのだ。これほど面倒くさいことはない。ただ、心のどこかで、これでいいと思ってる自分が居るのは厄介なところだ。
「こんなこと思うのは無粋なのかもしれないが、自由はすでに、人の心の奥底にあるのかもしれないな・・・」
その言葉は誰にも聞かれること無く、空に消えていった。
「もし、香澄さんが自由を見つけれたなら、俺も見つけられるのかな・・・」
その言葉ですら、空に食べられた。
「あんた、貧乏だったんだってねぇ?男子にお金巻き上げられて、どこからお金持ってきてるのかしらぁ?」
「・・・」
「はぁ?しゃべれないわけ?クソじゃん」
「・・・」
「いい加減喋れよ!クズが!」
パシッという乾いた音に続いて顔を殴る鈍い音が体育館裏に響きわたった。
「イッタい・・・」
「喋ったよこいつ!声気持ちわるっ!」
なんだ、喋っても喋らなくてもどっちにせよ、いじめられるじゃん。本当私って何で弱いんだろう・・・
「ホラ、助けを請いなさいよ。『許してください、ご主人様』ってね、アハハハハ」
こんなことなんで言わなくちゃいけないの?私は本当にいやだ。イヤだイヤだイヤだ。
「さっさと言えよ!カス!」
「許してください・・・ご主人様」
「じゃぁ、あんたは一生私たちの奴隷として暮らしな!アハハハ」
そしてその後授業を受け、帰りの挨拶が終わるや否や、すぐに教室を飛び出した
すると男子が路地裏に私をいざなった。
「なぁお金貸してくんない?頼むよマジでwwww」
「本当にお金持ってないんです・・・やめてください・・・」
「うーん。やだ。だったら体で払ってもらうかな」
え?イヤだよ。そんなの、好きでもない人とするなんて、そんなの・・・
助けてよ、見てるんだったら助けてよ、ねぇ!
「い、いやーーーーーーーーーーー!」
「こいつ?!黙れ雌ブタが!」
また顔を殴る鈍い音が響いた。本当に私はこんなことをされるために生まれてきたのかな?
そんなことを考えてる間も無く、すぐに制服を脱がされかけた。すると
「なにをしているんだい?君たち?」
「ゲッ!大人だ!逃げるぞ!」
大人の人が一人助けてくれた。
ただこの人どこかで見た気があるんだけど、どこだったっけ?
「あれっ?君って確か・・・雪乃宮高校の生徒さん?」
「そういうあなたは片端先生?!」
「さっきのって・・・」
「き、気にしないでください!」
女子に人気の片端先生と一緒に居たら、ますますいじめが酷くなっちゃう!それだけは・・・
なんとしもさけないと・・・
「君、名前は?クラスと出席番号は?」
「遄水香澄。雪乃宮高校二年四組三十六番です・・・」
「香澄さんですね。学校でもあんな感じなんですか?」
「そう・・・ですね。・・・でも!学校にも、私の担任にも言わないでください!御願いします!」
このとき、片端先生は香澄の悲痛の願いを受け入れ、担任や学校側には一切知らせなかったのだが、それは先のお話。
「じゃぁ、私個人が聞く分には、問題ないんですね?なら、聞かせてくれませんか?一体なにがったのかを」
私は答えを渋った。ここで、本当のことを言ってしまえば、確かに楽になる。だけどそれと同時に先生が言いたくても言えないつらい立場になってしまうんじゃないかと思うと、胸が苦しくなる。先生の問いに答えるべきなのに、声が出ない。私はそのまま、気を失った。
次、目が冷めたときには家にいた。
「あ、気が付いたのね!よかったわ!」
「・・・ここは・・・家?」
「片端先生が運んできてくれたのよ?!どれだけ心配したと思ってるのよ・・・」
「ごめんね。お母さん。もう心配しないでいいよ」
私は嘘をついてるのに、言い出せなくて・・・ごめんね・・・
「明日の学校は休みなさい。お母さんが学校に電話しておくから」
「うん、そうする」
私は内心嬉かった。だって、いつもいじめられてる学校になんて行きたくも無かったからだけど、片端先生にお礼を言いたかったのも事実だし、そこらへんの葛藤はあったけど、それでも、少しうれしかった。だけど、少し嘘をまたついた
「あぁあ、勉強少し遅れちゃうなぁ」
「香澄だったら、少しくらい遅れても、すぐ追いつけるでしょ。今日は休みなさい」
「はぁい」
すると、私のスマホに、一通のメールが届いていた。メールの送信者は、片端先生だった。
私は片端先生の名前を見るだけで、胸が鳴った。・・・
「はじめて、私の傷ついた心に気づいてくれた人・・・」
私の心はもう誰にも気づいてもらえず、このまま心も壊れ、死ぬのかと思ってた。だけど片端先生は気づいてくれた。気づいてくれたことはうれしかったけど、言うことのできない悲しさもあった。再び、私はスマホの画面に目を落とす
【遄水香澄さんへ
家にたどり着きましたか?とは言っても、お母様が、私が送ったことをすでに話しているのでしょう。体のほうは大丈夫ですか?お母様と少しお話しましたが、今日あったことや、今日聞いたことは一切話していませんから安心してください。それと、今度個人的に相談に乗ってあげますから、どこか、予定あけておいてください。日にちはそちらで決めておいてください。おねがいします。 片端康孝より】
メールの内容に私はどう反応すればいいのか分からなくなった。ただし、相談に乗ってくれるというのは、うれしかったりする。相談に乗ってくれるなら、私は、うれしい。こんな重荷をいつまでも背負っていく自信なんて最初から無かった。むしろ、途中で投げ出そうかと思った。投げ出して、自由になろうとした。私は一つ疑問を持った
「自由ってなんだろう・・・」
自由。それは何事にも縛られない。制限が無い。そうとも取れる。しかし、自由には大きな責任がともなう。学校の先生が言っていた。先生に聞いてみようと思い、日にちを伝えるついでに、聞いてみた
【片端康孝さんへ
私は無事に家で寝ていますよ。康孝先生。送っていただいて、ありがとうございます。日時も伝えておきます。6月17日の放課後、駅前の喫茶店で会いませんか?待っています。それと一つ、質問なんですけど、自由って何だと思いますか?教えてください
遄水香澄より】
短い文だけど、それなりに気持ちがこめられている。自由とは何か・・・そんなこと分かったら苦労はしないと思う。メールを送信してから10分くらいたった。メールの返信が来た
【遄水香澄さんへ
日にち、場所、了解しました
自由ですか・・・考えたことも無かったですね。ローレンスの言葉の中に『自由を探しているときが一番自由だ』とありますが、私は自由なんて無いんだと思いますよ。自由は私たちが作り出したもので、その作り出した虚像を追っているのかもしれません。夢物語も貫き通せば現実です。あなただけの自由、見つけてみてください
片端康孝より】
「自由なんて無い。だからこそ自分だけの自由を作り出すことができる・・・」
私はその言葉を噛み締めた。そして心に刻んだ。私は今日から一生懸命、自由を求めて生きていく。その先には、きっと何かがあるはずだと、今日、確信したから。
「自由とは何かっていきなり聞かれたから、つい答えてしまったが。あれでよかったのか・・・香澄さん・・・」
俺は、自由とは何かなんてメールで送ったとおり、まったくわからなかった。ただ、ローレンスの言葉だけは知ってた『自由を探しているときが一番自由だ』俺はいつも、この言葉を胸に生きていた。ただし、余計なことには一切かかわろうとはしなかった。かつ上げ、いじめも例外ではない。ただ、女の子を襲う男子集団は許せなかったが、それだけでは助けようとは思わなかった。彼女の心が垣間見えた。あんな傷ついた心を放ってはおけなかった。だからなのか、ついつい助けてしまったのだ。そして、今では相談にまで乗ろうとしている。自由を探すのには、邪魔なのかもしれないが、人間としてなのだろうか何なのだろうか分からないが、ついつい助けたくなってしまったのだ。これほど面倒くさいことはない。ただ、心のどこかで、これでいいと思ってる自分が居るのは厄介なところだ。
「こんなこと思うのは無粋なのかもしれないが、自由はすでに、人の心の奥底にあるのかもしれないな・・・」
その言葉は誰にも聞かれること無く、空に消えていった。
「もし、香澄さんが自由を見つけれたなら、俺も見つけられるのかな・・・」
その言葉ですら、空に食べられた。