ぶさいくな旦那様



「そうそう、マリ、結婚のことはひと月後の王国誕生祭の時に国の皆様に伝えるからね。」


「えっ」



翌朝の朝食時に、突然お母様に言われた。



「なんだ、何かあったのか」



お父様が私の変な返事を聞いて顔を窺ってくる。



「な、なんでもないわ。」



平静を装ってお父様にも返事をする。


こんなに居心地が悪くなった朝食は初めてだ。



「そうよ!マリとテオくんの結婚準備として、2人でしばらく暮らしてもらったらどう?」


「ええっ!?」



驚いて声が出てしまった。



「あらマリ、2人暮らしをさせるわけじゃないのよ、なるべく2人で過ごす時間を増やそうって」


「そ、そう」



バクバクと音を立てる心臓はしばらく大人しくなってくれそうにない。



「うん、いいな、今日からこちらに来てもらおう。」



お父様もお母様も幼なじみから夫婦になったので、とても仲がいいから、たまに王や女王っぽくない時がある。


食事は硬い空気になったことなんて無くて、柔らかい雰囲気の中で食べることが出来るし。


そんな両親は、嫌いじゃない。むしろ好き。
堅苦しくなくて、居心地がいいから。



でも、今日は特別居心地が悪い。


さっきから、私は取り乱しすぎてる気がする。


想定していなかったことが、どんどん決まっていくから。



私、前までは何事も落ち着いてこなせる人間だったのに。



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