ぶさいくな旦那様
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
テオが家に上がる。
昨日の今日。だけど、気まずさはない。いつもそう。
「相変わらず、マリさんのお父様とお母様は決断がいきなりで、速いね。」
「私も驚いたわ。」
ソファに座って紅茶を飲みながら2人でゆっくりするための、この時間。
まだ、夫婦になるなんて実感はないし、そんなこと考えてもいないからソファに座るのは向かい側。
「マリさん、まだ考えられてないでしょ?」
「そうね、全く考えられてないわ。
物事が速く進みすぎて追いつかないの。」
テオは私の決断を待ってくれている。
もう少し美形に生まれていたならきっと人気だったでしょうに。
「テオ、しつこいようだけど、あなたはいいの?」
「僕?僕は平気だよ。なんにも気にすることなんてない。」
にこにこと微笑みながら答えてくれるテオ。
本当だったら、私の意思を尊重してくれる、その言葉を受け取って嬉しいはずなのに、どこか切なくて、嬉しくない。
理由は、よくわかんない。