ぶさいくな旦那様
「...マリさん...」
「テオ、あなたの気持ちを聞かせて。
私だって、あなたが嫌がることはしたくないわ。」
今更、愛の言葉なんていらない。
テオの言葉だけが知りたい。
「ふふ、マリさん、完敗だ」
「え?」
いきなり笑い出したテオに私は唖然とする。
今のどこに笑うところがあったのよ?
「マリさんは、相変わらずカッコいいね」
「テオ、何言ってるの?」
「ごめんね、僕が半端なこと言ってたからマリさんを迷わせちゃってたんだよね。
僕はね、昔から結婚するならマリさんとがいいってずっと思ってた。」
突然降りかかった甘い言葉に、心臓がドキドキと音を立てる。
それは、どう受け取ればいいの?
「マリさん、好きだよ」
「~っ、それはっ、今まで私以外の女性と接したことがないから、私のことしか知らないってことじゃなくて?」
真っ直ぐ私に向けられたテオの言葉から逃げるみたいに目をそらす。
「そうかもしれないけど、それでも、きっと僕は君を好きになったと思うよ。」
いつも弱々しくて、私の後ろをついてくるだけだったテオ。
あなたはいつの間にそんな目をするようになったの?
「あ、あんまり好き好き言わないで!
もうわかったから!
お母様に伝えてくる!」
熱くなった顔は、きっと赤くなっている。
私はテオを置いて部屋を出た。