大切なものを選ぶこと
──次の日
明るい日の光で目が覚めた。
昨日はいつの間にか眠ってしまっていたらしく、私は布団の上にいた。
秋庭さんは…?と思っていたら玄関の方から微かな声がした。
『あと1㎝深かったら縫ってたけど心配ないよ。
跡も残らないと思うしね~』
『そうか…よかった。早朝からすまなかったな、夏樹』
『改まってそんなこと言いなさんな。我らが主の頼みとあらば、いつでもどこでも参りますって』
『ありがとな』
『今度はその子が起きているときに紹介してくれよ、弘』
『ん、そうだな』
『じゃ、俺はこれで。
グッバイ火山灰~』
『そのギャグ…つまらんからやめた方がいいぞ…』
『へいへい。んじゃ~な』
──バタンとドアが閉まって…男の人は帰って行った。
「おはようございます、秋庭さん」
戻ってきた秋庭さんに声を掛けると一瞬だけ驚いた顔をして、優しく笑った。
「おはよう。よく眠れたか?」
「あの…すみません…私、寝落ちしちゃったみたいで…」
そう言うと優しく頭を撫でられた。