大切なものを選ぶこと
──「悠太、バイト行ってくるね。ご飯は作ってあるから」
「ん、わかった、行ってらっしゃい」
最近は昼間のバイトの他に深夜のコンビニのバイトもいれた。
そうしないと生活できないから…
そして…悠太に働いてくれと言うことは諦めた。
言えば暴力を振るわれて脅されるだけだから。
───P、P、P バイトまでの道中、携帯が着信を告げたので急いで出た。
『もしもーし、美紅?』
電話の相手は大学の親友であるマキ。
『あ、マキー?どしたのー?』
『どしたのー?じゃないよ!美紅ってば最近授業サボりすぎだよ!単位ヤバくない!?』
『あー、うん…そうだねー…』
『……なんかあったの?』
『ううん…なんでもない!!
ちょっと最近バイトが忙しくてさ!』
『…ならいいんだけどさ、なんかあったら言ってよ!?美紅の頼みならなんだってするから!
イツメンのみんなも待ってるから早く来てね!』
『ありがとね、マキ』
そこで電話を切った。
マキや大学の仲のいい友達に言えるわけがない…。
悠太のことは自慢の彼氏として紹介したこともあるくらいだし。
ましてや、彼氏に暴力を振るわれてるなんて…。