大切なものを選ぶこと



──目を開けると病室にいた。




あぁ…確か、撃たれたのか俺は。




でも撃たれたのは太腿だったはず…なんで意識とんだんだ…





そんなことを考えているとベッドサイドにいた高巳に呆れた目で見られた。






「右太腿動脈損傷で出血多量。
弘、お前なぁ…いくら組員の士気高揚のためだとはいえ、鉛玉食らった状態で指揮執るなよ…。
弘が撃たれたなんてさ、蓮さんがいたら俺マジで殺されてるぜ…」





「まぁ…確かに兄貴がいたら、な。
大丈夫だろう。今頃ドイツでビール飲んでるかな」





「いや…蓮さんなら帰国してからが怖いぞ。
あー嫌だわ…このブラコン兄弟…」






こんな風に軽口を叩き合っていながらも、‘で?’と若頭の顔をして促せば、高巳は薄く笑った。






「佐々木組、森田組、んで真中組。全部潰したよ。誰かさんが撃たれてくれたおかげですぐに片が付いたよ」





「そりゃよかった」





「何人かの幹部と、弘を撃った奴は諮問部屋に入れてある。あとは帰国した蓮さんが煮るなり焼くなりするだろ」





「そうか、わかった。
ご苦労だったな、高巳」






これでこっちの為すべきことは済んだ。




あとは…美紅を迎えに行くだけだ。







「純!行かなきゃいけない所がある、車出してくれ」





「へい」






病室の前で待機していた純にそう言い、ベッドから起き上がろうとすれば…病室のドアが開き、緩い声がした。






「‘へい’じゃないよ~純さん!!」





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