大切なものを選ぶこと


低くて、少しだけ掠れていて…物凄く甘い声…



声に反応して顔を上げれば…




「…………ッ」



思わず息を呑んでしまうくらい容姿の整った男性が立っていた。




185はあるだろう長身に、服の上からでもわかるほどよくついた筋肉。



そして何よりも…甘すぎず厳つすぎない容姿…。整った眉に切れ長の目、高い鼻に綺麗な鼻筋…。男前なんて言葉では表せない…



今までに出会った男性の中では群を抜いているレベルで、芸能人なんかも非じゃない…





「隣、いいかな?」




「えっ…あ、はい…どうぞ…」




「ん、ありがと」




やっぱり…声が甘すぎる…





この人…こんな時間に何やってるんだろう…なんて完全に自分のことは棚に上げた疑問が頭をよぎった。





──プシュッ



と、プルタブを開ける音が隣から聞こえて、ちらりと横目で見れば、何故か缶ビールを飲んでいる…



上下に動く男らしい喉仏に無意識に目を奪われた。





というか…なんでこの人、私の隣に来たんだろう、と思って辺りを見回したが、この公園にはベンチが一つしかないらしい…


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