大切なものを選ぶこと
「あたしの彼氏、この前あたしに内緒で合コン行ったのよ。それで今は冷戦中!」
「だから、由美子の彼氏に制裁を!と思って私と加奈で合コン企画したの!」
「てことで明日、美紅も合コン参加ね!」
意気揚々と言う三人。
合コン…合コンかぁ…合コン!?
待って、私…合コンって行ったことない。
今までは悠太がそういうの行っちゃだめって言ってたから。
男の人と飲みに行くって言ったら、秋庭さんは少しは嫉妬してくれるのだろうか…
でも、秋庭さんがいるのに他の人と飲みに行くのは…。
「合コンはさすがに秋庭さんに申し訳ないし…」
「大丈夫、大丈夫!合コンっていうよりは一緒にご飯食べましょうねーって感じだから!」
「もともと3対3だったんだけど、相手の人数が一人増えちゃったみたいで…人数合わせで来て!美紅!お願い!!」
「相手、W大生だから私と真希は本気で彼氏欲しいの!ね、美紅!」
W大学といえば、東京にある私大の中では1~2位を争うくらい学力の高い大学だ。
本当に人数が足りないらしく、三人に改まった顔で頼まれる。
「彼氏さんがダメって言ったら諦めるからさ、確認だけしてみてよ、ね」
「いや…でも…」
「ダメって言われたらやっぱり妬いてくれてるんだろうし、彼氏さんの気持ち確認できるよ!」
「「そうそう」」
いい感じで三人の口車に乗せられている感じがする…
秋庭さんの気持ちを確かめるなんて良くない事だって思うけど…私が男の人たちとご飯を食べに行くことになったら秋庭さんはどんな反応するのだろうと気になっている自分もいる。
もし秋庭さんが私以外の人とご飯を食べに行くと言ったら私は嫌だし、嫉妬してしまう。
いつも大人の余裕を醸し出していて、私に優しすぎる秋庭さんのことだから妬いてくれないだろうか。
もしそうだったら悲しい。
私ばっかり好きみたいだ。
「聞くだけ聞いてみなよ!彼氏さんの気持ちわかるからさ」
「ん~でもやっぱ彼女が合コン行くのって男は嫌がるよね~…。そしたら3人で行こう」
「そだね、さすがに無理やり連れて行くわけにはいかないからね」
そう言われてしまい、とりあえず秋庭さんに確認してみることになった。