大切なものを選ぶこと



──「…合コン…?」




その日の大学後、ちょうど今日は秋庭さんとのデートの日だったのでさりげなくさっきの話を切り出してみた。





ちなみに今は某有名チェーン店のコーヒーショップにいる。







「合コンっていうよりご飯食べるだけっていうか…。人数足りないみたいで、真希たちに参加してほしいって頼まれちゃいまして…」





「………………」






何とかフラペチーノを飲む秋庭さんの手が止まる。




あ、秋庭さんは大の甘党らしい。





何回目かのデートで秋庭さんが甘党だということを知って、ギャップ萌えしたのが記憶に新しい。




秋庭さん的には全く隠しているつもりはないらしく、私と一緒になって普通にケーキだのパフェだの食べる。





あーでも…この前、珍しく恥ずかしそうな顔をしながらケーキビュッフェに付き合ってくれって言ってきた…




甘党を隠しているわけではないけど、女の人しかいない場所に一人で入って行く勇気はなかったらしい。





あれは萌えた。



ちょっと照れた顔が最高に可愛かった。





閑話休題。








──合コンの話に一瞬だけ眉間に皺を寄せた秋庭さんだったけど、やっぱりいつもの大人な態度に戻った。






「いつだ?」





「明日の夜です」





「ん、明日か…。ちょっと一瞬スマホ弄るぞ」





と言って、胸元からスマホを取り出した秋庭さんは何やら予定を確認し始めた。




一通り予定の算段がついたらしく、顔を上げた秋庭さん。







「終わったら連絡くれ。迎えに行くよ」





「え?仕事は…?」





「その時間だけ抜けられるようにするから大丈夫」





「というか…行っていいんですか…?」





「ん?行かないのか?」





「男の人との飲み会なんかダメって言われると思ってました…」






「浮気の心配はないし、信じてるから。
それに…友達付き合いは大事だろう」






信じてるからって言ってもらえたのは嬉しい。





だけど…少しでも嫉妬してほしかったとか、一言でも行ってほしくないって言われたかったというのは、私の我儘なのだろうか…。









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