夜蝶
高校3年生の春。
まだ桜も咲いてない肌寒い4月初めの私は、去年と変わらない高校生活を送ろうとしている。
いや、一つだけ今年は違う。
去年わたしは何もかもすべてのことに絶望をして、死のうとした。
そして一人の男の人に助けられたこの命。
少しは生きてみよう。そう思えたの。
そんな私の名前は、
響[ひびき] 久玲愛[くれあ]
自分でも気に入ってるぐらいこの名前は好きだ。
キラキラしてる可愛らしい名前だけど私自身キラキラしてもないし、可愛くもない。
だから、名前通りの子ではない。
こんな自分大ッキライ。
私は、周りと違う。私の家庭は普通じゃない。
なんでみんなあんなに楽しそうなの?
そう思わずには居られなかった。
…きっと、これは嫉妬。羨ましい。
大人になるにつれてそんな感情が強くなった。
それがきっと顔や態度に出ていたんだろう。
いつの間にか私の周りは誰も居なかった。
寄り添おうともしなかった。
でもそれでいい。
だから友達はほぼゼロに等しい。
『久玲愛ー!お弁当忘れてるー!
ちょっと!?スカート短くない!?』
私の親は心配性。
特にお母さん。お父さんも心配性だけどお母さんは、特に異常なほど心配性だ。
『あ、やべ、ありがとう!
うるさいなぁ…もぉ!』
はぁ、朝からうるさいなぁ。
そう思いながら毎日お弁当を作ってくれるお母さんには感謝してるよ。