夜蝶
それから、俺は霧生の仲間になった。
悠斗さんが引退したとき、俺に2代目を託された。
『こんな俺でいいんですか?』
『お前がこのチームを引っ張っていけ。そして、お前も大切な…守りたい人を見つけろ。』
そうして、俺は16の時
2代目霧生の総長となった。
俺が総長になってもついて来てくれる。
悠斗さんが築き上げたこの霧生を無駄にしないように俺も覚悟を決めた。
『全国No.1を目指す』
そう傘下にも宣言をした。
総長になってから忙しい日々が続いた。
北部から南部へ制覇している時に、ある女の子に出逢った。
その女の子の目は、真っ暗で誰も移そうとしない。そんな瞳をしていた。
でもそんな子、この世界じゃ当たり前に居る。
だけどすれ違ったとき、ふと嫌な予感がした。
コイツ死ぬ気だ。
女の子は車が来てるのに、渡ろうとする。
昔の俺ならほっておいただろう。
なんだろう。体が勝手に動く。
俺は女の子の手を引っ張り歩道にやった。
そしたら、俺の顔を見て驚いた顔をしている。
助けた事に驚いているのか、それとも特攻服着てるせいで驚いているのかは、
分からない。
ただ一言だけ俺は言った。
『死ぬんじゃねぇ。頑張って生きろ。そしたら必ず誰か必要としてくれる人が現れる。』