夜蝶


『私の家、昔からすごく貧乏だったの。



お父さんが仕事コロコロ変えてて安定してなくて、仕事のストレスとかで家庭内暴力もあった。



私は大人しくなるべく怒られないようにしてたからあまり暴力されたこと無いけど、



お姉ちゃんとお母さんがよく殴られたり蹴られたり、されてたのね。



"死ね。消え失せろ"

そーゆうお父さんの冷たい顔が今でも頭から離れられない。



2階から物投げたりとか、ごはん炊き忘れただけなのに
テーブルひっくり返してお母さんが作ってくれた料理が絨毯の上に散らばったり。




とにかく昔は凄く短気だったの。




でも、愛情はあったから今までついてこれた。




そして中2のとき、私は家の事情で転校した。
家の事情が何なのか何も知らないまま。



そして、転校して色んな人を見たり聞いたりして、私の家は他の家とは違うことに気づいてきた。




みんなは、凄く楽しそうに笑ってて私だけが取り残されてるような感覚に囚われていったの。



最初は、勿論そんな気持ちをなかったふりをしたんだ。




私の家は、きっと少し違うだけ。そう。少しだけって思うようにした。




でも、高校入って家の状況は悪化し始めた。





高1のとき、また違う場所へ引っ越す事になった。




同じ市内だけど、異様な引っ越し方だった。



でも聞こうと思って遠回しに聞いてみても
"お前は知らなくていい"
その一点張りだった。




こんな生活をしてたら


家の事を考えたくなくて男の人と会ったりして奢ってもらったり映画とか連れてってくれたり、セフレっぽい人も居たりした。





そして、その半年以上が経った頃、
ここの家賃を払えなくなったから家を出なきゃいけないということになったんだよね。




それから、お金も無いのに旅館みたいな所に泊まったりしてたから、やっぱり何か隠してると思った。



< 71 / 106 >

この作品をシェア

pagetop