夜蝶
今日も真っ直ぐ家に向かう。



私の家はボロ団地。



両親がダメ親で借金返済の為、私も頑張ってドラッグストアのアルバイトをして



少しでも家庭の為にってほぼ全額生活費に入れている。 



だからといって偉いって言われたい訳じゃない。
言われたって嬉しくない



こっちは生きる為本当に頑張ってるんだから
同情しないで欲しい




そう思うのは、良くないことなのかな?




私は、そんなこと思っているうちに家に着いた。 


良かった。今日はお母さんたち喧嘩してない。 


ずっとこのまま何もなく過ごせればいいなぁ。



─────────────────────


そんな私の願いも一瞬で崩れ去った。



1ヶ月後、学校が終わってアルバイトも終わって



家に帰った時、なんだか騒がしいと思ったら、私の家から怒鳴り超えが聞こえてきた。



やだやだやだやだやだ。



お願い辞めて。



怖いよ。



怖い怖い怖い。



昔の記憶が蘇る。



逃げ出したい。




このままどこか遠くに行きたい。



でも私の帰る家はこの家しかない。
  



ガチャ。



あちらこちらに物が散乱してる。




『久玲愛、ごめん。俺出てくわ。』




『え、、なん…』



理由を聞こうと思ったけど、もうお兄ちゃんは前のお兄ちゃんじゃない。



心が苦しそうな顔してた。



なんとなく分かってた。




私が高1の頃から
このままの家の状況だと絶対にお兄ちゃんは、出ていくって


でも何もできなかった。



何もしてあげられなかった。



分かってたのに。


それから私は引き留める事も出来なくて
お兄ちゃんは、家を出ていった。


お父さんは、なにも言わずただ黙っていて、



お母さんは、泣き崩れてずっとお兄ちゃんの名前を呼んでる。



胸が苦しい。



お兄ちゃんの気持ちも分からなくもない。



こんな家の状況が続いて出ていかない人のほうが珍しい。




でも…。



お母さんの気持ちも凄く分かる。




今まで必死に私達の事守ってくれて、自分の命より大切にしてくれて。



私は、お母さんを抱きしめることしか出来なかった。


それからずっとお母さんは、泣いてて



お姉ちゃんと一緒にお母さんを慰めて泣き疲れて寝ちゃったみたい



私も今日はゆっくりしよう
なんか疲れちゃった


これからどうなるんだろう。わたしたち。


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