紳士系同期と恋はじめます
同期の仲間が、タクシーを呼んでくれた。
自分では歩けない元原さんを、男性が運んだ。
いつも、元原さんのお世話をするのは、人事部で同期の男性、みたっちだ。
本名は三田(みた)って言うから、みたっちと呼ぶ。というより、呼ばされた。そう呼ばないと、頼まれても仕事は受け付けませんと脅されたからだ。
みたっちと元原さんは家の最寄りが同じらしく、同期会のあとは、いつも一緒に帰っている。
「糸も乗って行きな!」
みたっちは私を糸と呼ぶ。私の家はみたっちや元原さんの隣の駅に住んでいるから、そう声を掛けてくれる。
「そうしてもらいな。最近、"出る"んでしょう?」
私の背中を押すのは、品質管理部の明美(あけみ)ちゃんだ。同期の女性メンバーで一番私と仲がいい。
「う、うん。じゃあ、みたっち、お願いします」
「オッケー。糸は助手席でいい?げんげんが倒れてきても、支えられないだろ?」
「はい」