紳士系同期と恋はじめます


同期の仲間が、タクシーを呼んでくれた。
自分では歩けない元原さんを、男性が運んだ。

いつも、元原さんのお世話をするのは、人事部で同期の男性、みたっちだ。
本名は三田(みた)って言うから、みたっちと呼ぶ。というより、呼ばされた。そう呼ばないと、頼まれても仕事は受け付けませんと脅されたからだ。

みたっちと元原さんは家の最寄りが同じらしく、同期会のあとは、いつも一緒に帰っている。

「糸も乗って行きな!」

みたっちは私を糸と呼ぶ。私の家はみたっちや元原さんの隣の駅に住んでいるから、そう声を掛けてくれる。

「そうしてもらいな。最近、"出る"んでしょう?」

私の背中を押すのは、品質管理部の明美(あけみ)ちゃんだ。同期の女性メンバーで一番私と仲がいい。

「う、うん。じゃあ、みたっち、お願いします」

「オッケー。糸は助手席でいい?げんげんが倒れてきても、支えられないだろ?」

「はい」

< 5 / 14 >

この作品をシェア

pagetop