秘密の契約
結城くんに血を吸われたら、私どうなるんだろう…





頭の中をいろんな思いがグルグル回る。

まだ死にたくないな、とか。



でも今すぐにでも血を吸おうとしている結城くんはどこか苦しそうだった。



「…結城くん、苦しいの?」



思わず声をかける。

すると彼はゆっくり顔を上げて、力のない笑顔で答えた。



「…最近、誰のも吸ってないんだ」



きっと、引越しの手続き等で忙しかったんだろう。


もういっそ…



「…私の、吸ってもいいよ」


「…っ!」



一瞬、結城くんの目が、さらに赤みを増したように感じた。


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