秘密の契約




「ゆ、結城くんっ!」



学校なのに。

吸血鬼の姿になりかけてたんだから。


私は、ポケットから手鏡を取り出して、結城くんに見せつけた。



「ほら!見て!こんな所でその姿になっちゃダメ!」



結城くんの反応はない。

というより、ポカーンとしていた。


私は、「もぉ!」と言って、結城くんの魔力が弱まった隙を見て席を立ち、彼の後に立って、鏡を見た。



するとーーー



「……え」



鏡に結城くんの姿は映っていなかった。


いや、確かにここにいる。
私の目の前に!

なのに鏡に映っているのは私の姿だけーーー



全身の血の気が引いたような気がした。

結城くんは、パッと手鏡を下ろし、



< 32 / 50 >

この作品をシェア

pagetop