秘密の契約
「例えば俺が初めて美琴に正体がバレた時ーーー」
あぁ、昨日の夜のことだ。
「俺、美琴の枕元にいたでしょ?」
「…うん」
思い出せばそうだった。
カーテン越しに影を見つけて、怖くなって目を瞑ってたら、急に金縛りにあって…
不安になって目だけ動かしたら、枕元に吸血鬼の格好をした結城くんがーーー
まだ鮮明に覚えているのが怖かった。
「普通のヴァンパイアじゃそんなんできない」
「…え」
驚く私に結城くんはスっと手を差し出しながら言った。
「純血のヴァンパイアは、招待されていない家には入れないんだ。…俺、美琴の家にそれまで1回も入ったことなかったのに入れただろ?」
ギュッと私の手を握りながら。
「特殊なヴァンパイア、って思っといてね」
「……っ!!!」
また、妖しい笑みを浮かべてきた。