秘密の契約




「もうそろそろ、俺等の時間だ…」



真っ赤な夕日、すぐそこには真っ暗な夜ーーー

結城くんはボソリと呟いて、



「帰ろう、日が沈み終わる前に」


「……っ!」



私に手を差し出してきた。





え、え!?
なに、この手を取れってこと!?
いやいや…、さすがに恥ずかしいーーー





私が躊躇していると、



「…わっ!!」



彼は強引に私の手を取って、急に走り始めた。



「ちょ、ちょっと、結城くん!?なんで走るの!」



風を切る音が妙にうるさい中、前を走る結城くんに訊ねた。



「…日が全部沈み終わったら、俺の正体が皆にバレる」


「…え?」



< 36 / 50 >

この作品をシェア

pagetop