料理男子の恋レシピ
合コンのあった次の土曜日。朝9時。
高崎さんの部屋に行く。
「おはようございます。」
「おはよう上がって。」
高崎さんの部屋は、予想通り、私と左右対称の作り。
『家事をして』って言うくらいだから、散らかってるのかなって思ってたけど……全然散らかっていない。
少しの洗濯物と朝の分の食器くらい。
省吾さんが、物品の位置などを教えてくれる。
「家にあるもの自由に使っていいから。寝室には入らないで。」
「わかりました。」
早速、洗濯に取りかかった。
洗濯機がまわってる間に洗い物を終わらせ、掃除機をかける。
………あとは、洗濯干して終わり??これだけ?
「あ、終わった?」
省吾さんに、声をかけられた。
「はい。あとは洗濯干したら終わりです。あの。私、家事する意味ありますか?すごくきれいにされてますけど。」
「もしかして、散らかってると思ってた?」
省吾さんが笑う。
「すみません……」
「家事が苦手なわけじゃないんだ。ただ、忙しいとまともに洗濯したり、アイロンかけたりできないし。息抜きするなら息抜きしたいだろ。家事に気を取られるのが嫌なんだよ。」
なるほど。
「ところで、今日は、なにを作りたい?」
あ。考えてなかった。うーん。
初めてだし、私でもすぐにできるようになりそうなもの……
「カレーですかね?」
初心者むけの料理がいいと思い、選んだのだけれど、高崎さんが怪訝そうな顔をする。
「……それって、スパイスからってこと?」
「まさか!!」
「……………市販のルゥ使って教えることなんてあるか?」
それでも私は失敗したの!!!煮崩れたり、火が通ってなかったり、べちゃべちゃだったり、焦げていたり………
悔しい。
俯く私に高崎さんが、声をかける。
「ごめん。今のは俺が悪かった。
今日は失敗させないから、安心しろ。買い物行くぞ。」
そう言うと、高崎さんが鍵を持って立ち上がる。
私も慌ててついていった。