料理男子の恋レシピ
「省吾さん。あのぅ………」
「ん?」
「私、結局、見てるだけでなんにもしてないんですが……」
私の言葉に、省吾さんが考え込むしぐさをした後、私を見る。
「西原でも、失敗しない料理教えてやる。」
そう言って取り出したのは卵。
「ゆで卵作れるか?」
えっ?!うーん。前はレンジでしようとして恐ろしいことになった。鍋ですると割れちゃうし………
困っていると省吾さんが見透かしたように言ってくる。
「卵、割れにくい方法もあるんだよ。」
そう言って、教えてくれる。
「卵は水から茹でる。その時、塩かお酢を少しだけ入れておく。」
へぇ〜熱湯にそのまま入れてたよ。
「ゆでた卵はすぐに水で冷やす。こうすると、つるんっとむけるから。」
ほらむいてむいて、と卵を渡される。
ほんとにつるんっとむけた。うわぁ。感動。。
次は小松菜。
「小松菜は塩を入れたお湯で軽くゆがいたら、冷水で冷まして水気を切る。」
省吾さんの説明を聞きながらやるけれど、なかなか難しい。
「あとは、小松菜と卵を適当な大きさに切って、マヨネーズと少量のケチャップで和える。」
'小松菜と卵のマヨネーズ和え'完成!!
「これなら、卵ぐちゃぐちゃでも小松菜茹で過ぎても、マヨネーズで味わからないから。」
すごい言われようだけど、確かにこれなら作れるかも。
夕食にはまだ早い時間なので、料理に使った器具を洗って、干してあった洗濯物を片付ける。
省吾さんは仕事をしてるみたい。
邪魔をしないよう、静かにコーヒーを入れる。さっき、場所教えてもらっていた。
「省吾さん。よかったらどうぞ。」
「ありがとう。」
カップに口をつけた後、省吾さんが微笑む。
「コーヒー淹れるのは上手いんだな。」
とくんっ
省吾さんの柔らかい笑顔に心臓が跳ねる。
「ありがとうございます。好きで練習したんです。」
「なら、料理も練習したら上手くなるよ。そろそろ食べようか。」
そう言って、テーブルの書類を片付け始めた。