料理男子の恋レシピ
日曜日の夜。
作った料理が省吾さんの家のテーブルに並ぶ。
ご飯、お味噌汁、焼き魚、ほうれん草のお浸し、きんぴらごぼう
THE 家庭料理 といった感じ。
うん。美味しそう。
晩御飯が和食になった、その理由………
それは、数時間前に遡る。
「味噌汁の味がしない???」
「はい。」
「味噌入れたら味噌の味するだろ。」
「そうなんですけど。」
省吾さんに料理を教えてもらうようになって以来、家でも料理を作るように頑張ってる。
主には、教えてもらったことの復習が多いけれど。毎日そればかりというわけにもいかないので、作れそうなものを作っている。
まだまだ、焦げたり火が通ってなかったり、上手くいかないこともあるけれど、食べれないほど不味い料理はなくなった。
その理由はたぶん。
手順や、その意味を考えるようになったこと。
隠し味をやめたこと。
家で作った料理で、上手くいかなかった話をすると、省吾さんは簡単なアドバイスをしてくれる。
逆に、ネットで調べて、できそうな料理を作った話をしたときは、『俺も作ってみようかな。』なんて言ってくれる。
省吾さんは否定するような言い方はしない。だから、安心して話ができる。
今回話したのは、お味噌汁。
今までインスタントにお湯を注ぐだけだったのを、自分で作ってみることにした。
定番の豆腐とワカメのお味噌汁。豆腐はともかく、ワカメは煮えすぎてベロベロになるし、味噌で辛いのに味は薄い。なんというか、味が足りない感じ。
以前の私なら絶対隠し味入れてたなぁ……まぁ、それで失敗するんだけど。
「加奈子。それ、出汁とった?」
「出汁?取ってないです。」
レシピには乗ってたけどメインの味じゃないし。
難しそうだし面倒くさくてやってない。
「原因それだな。」
えっ?!
出汁ごときで?
考えを読まれたらしい。
「出汁は、基本だから。今日は味噌汁リベンジだな。」
「はい。」
……今朝も味噌汁だったんだけどな………とは言えない。