料理男子の恋レシピ
食べ終わり食器を洗って、帰ろうとする加奈子に声をかけた。
今日一日、聞きたくて聞けなかったこと。
「なぁ、加奈子は拓海と付き合うの?」
きょとんとした顔で
「なんで、ですか?」
「噂。それに、この前2人で帰ってただろ。」
「あぁ、あれは同期会に行ってたんです。」
加奈子はそのつもりでも、拓海が加奈子のことを想ってるのは明らかだ。
無防備にも程がある。
隙だらけで、むかつく。
加奈子の唇を無理矢理奪う。
「んっ……やっ!!」
抵抗する加奈子の手を掴んで、壁に縫い付け抵抗できなくした。
息をする隙を狙って、舌を絡める。
加奈子の力がだんだん抜けていく。
唇を離すと、涙目で見上げる加奈子と目が合った。
やってしまった…
後悔に駆られるけれどもう遅い。
「ごめっ………」
「省吾さんなんて、大っ嫌い!!!」
そういうと、俺の部屋の合鍵を投げつけて飛び出していった。
あー。くそ。なにやってんだよ。俺。
一方的に好きになられても困るから。
・俺のことを好きにならないこと
そう条件を出したのは俺のほうなのに……
俺は加奈子がどうしようもなく好きなんだ。