料理男子の恋レシピ
省吾side

わけのわからない女に捕まった。

いきなり、彼女がいるのにこんなところに来ていいのかと聞いてくるし。(もちろん、彼女はいない。)
俺が料理をしていると知ったとたん料理を教えてくれと言い出した。
近づくための口実かと思ったけれど、素振りを見る限りそういうつもりもないようだ。

マジで訳がわからない。

「なに、なに?!なんの話してるの?」
回りが話を聞き付けてきた。めんどくせぇ。
「高崎さんに、お料理教えてもらいたくて。」
素直に答えてんじゃねぇよ。
「省吾、お前教えてやれよ〜」
「イヤだよ。」
なんで教えなきゃならないんだよ。
「別に料理上手くもないし。家庭料理レベルだろ。」
「カレーをスパイスから作るやつを、料理上手くないとは言わない。」
あっさり否定される。
こいつの思惑……
俺にこのわけのわからない女を押し付けて、俺狙いの女の子を狙うつもりか。

はぁ………まぁ、いいけど。

助け船を出すように、俺の前に座ってた女の子が話す。
「その子、毎度料理が下手でフラれるのよ。」

否定しないところを見ると事実なんだろう。

あぁ、なるほど。納得。
彼女のことが少しかわいそうになる。
でも、
「料理教室とか行けばいいんじゃない?」
「料理教室の1回の授業料知ってますか?それに、あーいうのは、ある程度できる人が行くんです。」

そう言われても……





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